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産業革命から現在にかけての労働

働くということに関して歴史の流れも踏まえながら、もう一度考えてみる。

 

近世の労働観(重商主義時代)

歴史を振り返ってみると、支配者階級の革命によって時代の変化が見られた。

フランス革命ロシア革命の例だけでなく、日本においても朝廷、豪族、貴族、武家、政府による新しい秩序の成立がしばしばみられる。

産業革命以後の弱肉強食の社会においては、労働者という奴隷階級と資本家という特権階級の対立が語られる事がある。

特権階級の既得権益化によって中間層の無気力社会の到来を予見する経済学者も存在していた。

しかし、現実には無気力社会は訪れず、奴隷制度と揶揄されるかもしれないが、生きるためには働くしかなく、末端の労働者は過酷な労働条件の中で仕事を行う時代という側面も見られた。

 

 

近現代の労働観

近代に入り、資本家と労働者の資産格差は広がり続ける、戦争という特殊な例で格差が縮小する場合もあったが、マクロで言えば資本家と労働者の差は開いたままであった。

pepera.jp

 

そのような状況の中、政治的な闘争によって階級そのものを反転させる共産主義の思想が生まれ、実際に社会主義が実践された国家も生まれた。

結論で言えば、社会主義では豊かになれず資本主義社会の方が全体としても豊かな社会になった。

資本主義の枠の中で特権階級になるために労働したのか、仕事自体にやりがいを感じたのか、生きるために仕方なくなのか、どのような労働観が支配的だったかは一概に言えないが、結果として働くものは豊かになれた

特に高度経済成長期の日本がわかりやすいように、所得倍増計画」や「一億総中流社会」という物語を純粋に信じられる時代であり、実際に働くことで豊かになった。

 

 

現在の労働観

では、現代の日本においては絶対貧困がほぼなくなると同時に労働者の所得格差、資産格差が上昇する。

仕事の内容も効率化、代替可能なマニュアル化によって仕事を行うハードルも低下した。それは、同じ製品・サービスを提供する場合、最も賃金の低い人々が請け負うことになる。つまり、労働の価値=最貧国の労働者の賃金+輸送コストの世界に収れんすることでもある。

 

世代別の働き甲斐に関する調査がある。

www.huffingtonpost.jp

その中における統計結果を見ると以下のような回答になった

働く理由、第一位は「収入」。
目的として、20代は「自立するため」。30代以上は「家族を支えるため」。

高度経済成長期の物語が崩壊した現在ではむしろ「働く意味」を自問自答する流れが活発である。その結果として、生きるために働くという意見が多くなった。

 

近世は生きるためだけに働かざるを得ない時代だった

近現代ではいくつかのイデオロギーやスローガンによって働く意味を与えられた時代であった。

皮肉なことに現在は近世のような生きるために働くという意見が支配的になる時代に向かおうとしている。

 

百年以上も前の時代の価値観に戻ろうとしている今、もう一度働く意味について考える必要がある。

 

 

ノート内容

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