アベノミクス悪いところ編
前回までアベノミクスのいいところを並べてみました。今回はその反論を行いたいと思います。
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前回のアベノミクスいいところ編 まとめ
①「大胆な金融政策 (金融緩和)」=お金の量を増やすこと
マネタリーベースが急激に増大しているいため、金融政策は成功しているように見える。
②「機動的な財政政策 (財政出動)」=公共事業にお金を投入
公共事業費はほぼ横ばいの推移である。
③「民間投資を喚起する成長戦略」=経済を発展させる
実質GDPはおおよそ500兆円から520兆円とわずかに増加している。
日経平均1万円から2万円へほぼ倍増している。
金融緩和
通貨の供給量は確かに増加している。政府は通貨供給を増やすことで毎年2%のインフレを起こし、需要を生み出すことを目標にしていた。
ではインフレは起こっているのでしょうか。
消費者物価指数の前年に対する上昇率は
0.34 (2013)、 2.76 (2014年) 0.79 (2015年)、 -0.11 (2016年)、 1.01 (2017年:IMF推計)
以上のように推移している。2014年以外は2%の物価目標に達していないということがわかる。
異次元の金融緩和を行っても、国民消費の需要が増えることはなく、物価の変動は目標よりも鈍い動きしかみられない。
また、以下のサイトより物価と消費のグラフを比較する。
異次元の金融緩和の異常性が一目で分かるグラフ - モノシリンの3分でまとめるモノシリ話
アベノミクス3年間で,
1.物価が急上昇したのに(赤)
異次元の金融緩和の異常性が一目で分かるグラフ - モノシリンの3分でまとめるモノシリ話
2.給料はそのまんまだったので(オレンジ)
3.物価を考慮した実質賃金が下がり(青)
4.消費が急激に冷え込んだ(緑)
以上のように2014年に物価が急上昇してもインフレ期待による消費が喚起されるどころか、逆に消費が落ち込む状況となっている。
金融緩和によって株価の上昇が起こったが、消費は生まれなかった。また、金融緩和を終了した時点で今まで買い支えてきた株価の暴落も予想される。
財政政策
前回の記事で示したように、財政政策に関しては平成23年(2011年)の東日本大震災関連の公共事業費が増大し、それ以降は減少、安倍政権下ではほぼ横ばいの推移である。
それ以外では高齢化による社会保障費が増加したのに合わせて国家予算が膨らんでいる状態である。攻めの姿勢のある財政政策は見られない。
経済成長
アベノミクスによりGDPが微増し、株価が倍増した。株価の上昇をもって経済成長と結論付けるならアベノミクスは成功といえるのかもしれないが、国民生活を考えるとやはり失敗としか言えない。
それ以外の経済指数は以下のサイトから確認することができる。
機械受注・稼働率、鉱工業指数を見る限り、2016年後半から指標は上向いているものの、全体として横ばいが続いている。
政府は銀行が企業に資金を貸し出すことによって設備投資を行い、
生産を増やしたり生産効率を高めることにより売り上げ、利益が増加し、
従業員の給与が上昇し、
消費が増えて設備投資が必要になり…
というような正のサイクルを目指していた。
でも実際は設備投資を控える企業が多く、銀行も企業に資金を貸し出せない。融資を依頼する企業は赤字経営の企業だったりするため、倒産のリスクがある以上簡単には融資できない。
第一段階から躓きによって、正のサイクルは起こっていない。
株価の上昇も同じであり、借金以外の資金調達(自己資金)ができても投資先がなければ経済が上向かない。
まとめ
- 目標通りの物価上昇は起こっていないし、物価が上がっても消費が落ち込んでいる
- 金融緩和のやめ時を誤ると株価の下落が起こる
- 銀行から融資を受けたい優良企業がなければ、金融緩和だけで経済成長は起こらない
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