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トレイルランの環境破壊から見る登山道のあり方

昨日にオリエンテーリングの話をしながら、Yahoo!の記事よりハイキングやトレイルランのマイナスの側面について取り上げます。

postplan.hatenablog.jp

 

記事について。

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news.yahoo.co.jp

舗装で起伏のある山道を走る「トレイルランニング(トレラン)」。大自然の中を走り抜ける爽快感や冒険性を備え、近年人気が高まっている競技だ。埼玉県内では秩父地域を中心に大会が開かれ、宿泊者増など経済効果をもたらしている。その一方でトレイルランナーによる登山道の損傷や遭難事故も起きており、地元の関係者は頭を悩ませている。

 9月18、19日に秩父市大滝で行われたトレランの大会「第19回雁坂峠越え秩父往還145キロ」では、雨の影響もあって登山道が大きく損傷。県秩父環境管理事務所は主催者に登山道の補修を要請し、主催者は来年の大会の中止も決めた。

 

議論するべきなのは

  1. マナーやルール、技術体力の面
  2. 環境破壊の面

で分けて考えなくてはならない。

1つ目のマナーやルールの設定はすぐにでも取り組むことができる。ハイキングやトレラン主催者が事前エントリーや当日の参加者に対し厳格に対応すればいい。具体的な例を挙げればきりはないが、遭難対策には分岐地点の案内を徹底したり、一定の地図読みスキルを参加条件にしたり、体力面での基準を明確化したりできる。登山者とのすみ分けのできるコースを決めたり、追い抜きには声をかけるマナー(鈴などの鳴り物を義務にするなども)。色々な例を挙げることが可能だ。つまるところ、マナーをルールとして強制することができればよい。

 

そのうえで2つ目の環境破壊に関しては対策が難しい。登山経験者ならなんとなく理解していただけると思うが、岩場やガレ場(岩石がごろごろしている道)を除いた登山道において道が荒れる原因に雨が関係している場合が多い。

土がメインの道において晴れている日であれば、100人が通過してもそんなに道の形が変わることはない。ただ、雨の日にぬかるみを歩けば1人でもで道が荒れ始める。その上、荒れた道が谷のようになり他の斜面から水が流れ込むと川のようになり地面が削り取られる。さらに、そのような荒れた道を避けるために登山客が迂回ルートを作り、荒れた登山道が広がるような負のループに突入する。

このことに関しては登山道整備の資金が集められる仕組みを作るしか方法はないようにも思える。街の道路が公共財であるのと同じように登山道も準公共財として管理することも考えなくてはならない。

 

社会の利便性を向上させるために、道路は公共のものであり、その整備は国や地方自治体が責任を負っている。

matome.naver.jp

博多の例を出すわけでもないが、例えば家の近くに大穴があいたとき、道路自体が私財(私有物、私道)であった場合、身銭を切って家の近くの道を修理する人は少ない。個人の最善の選択肢としては、莫大なお金を使って修理するよりは、少し時間がかかるがう回路を利用するなど対応するだろう。ただ、このまま町の道路が荒れ果てて、他の場所にも同様の大穴が発生すると街の人々がう回路に殺到し、渋滞が発生するなど全体の利便性が大きく損なわれる。

経済学用語に合成の誤謬(ごびゅう)という考えがあり、個人が合理的な選択をしても、全体としては悪い結果を及ぼすという考え方がある。道路が公共財として扱われるのはそのような理由でもある。

 

環境破壊に関しても同じような理論が成立し、登山道の破壊が進んでいることを嘆いても問題は解決しない。入山制限をすること以外は、修繕のコストを徴収する仕組みを作り、登山道の整備を行うしかない。

受益者負担の原則から考えても、様々な山で導入され始めている入山料という取り組みに期待するほかない。入山料の仕組みが成立しないままの状況が進めば、いずれかの時期に私有地を通る登山道において通行禁止が行われる流れが起こるのではないかという危惧もある。ハイカーやランナーがこれからも山で楽しめるようにするにはしっかりとした仕組みを作らなければならないだろう。